関東地方 茨城県
関東が誇る全国屈指の"農業県"茨城県の食文化
日本列島のほぼ中央。関東地方の北東に位置する茨城県は、東は太平洋に臨み、北は福島県、西は栃木県に接し、南は利根川をもって千葉県に接しており、県都の水戸市は首都東京から100km圏内にある。
県土一帯には一級河川の利根川・那珂川・久慈川をはじめ、およそ200の河川が流れ、全国第2位の面積を誇る湖の霞ヶ浦及び北浦を中心とする水郷地帯となっている。
関東平野の一部である常総平野が広がり、豊かな水質を活かして古来より農業が営まれてきた。農業産出額は、全国トップクラスの"農業県"なのだ。また、延長190kmに及ぶ海岸線を有し、県の沖合は、親潮と黒潮が交差する豊かな漁場で、季節ごとに様々な魚介が水揚げされる"漁業県"でもある。特に冬のアンコウは大変質がよく、近年では高級食材となっている。
取材協力場所:中川学園調理技術専門学校クッキングクラブ
農業と漁業に育まれた 茨城県の食文化
農業と漁業を柱にする茨城県の食文化は、地域ごとの気候風土にあわせて、多様な進化を遂げてきた。地域的特徴に分けると、北部地域、県央地域、南部地域、西部地域、鹿行地区(ろっこうちく)に大別できる。
<北部地域>
水戸藩の財政を支えた、こんにゃくづくり
こんにゃく自体の保存方法も伝わっており、からからに水分を抜いた「凍みこんにゃく」は、北部地域でつくられる伝統食になっている。

画像提供元:観光いばらき

画像提供元:茨城県営業戦略部販売流通課
また、茨城県を代表する食材のアンコウは、県北部の北茨城市と日立市は特産地として有名。7月、8月の禁漁期以外は、1年を通じて漁がおこなわれており、冬になると「あんこう鍋」の最盛期を迎える。

<県央地域>
水戸納豆を生んだ、茨城県の中心地
県央地域は、本県の行政・経済・文化の中心地。鉄道や高速道路、茨城空港などが整備され、交通の要衝になっている。
この地域で食べられている郷土料理に「そぼろ納豆」がある。切干し大根と納豆を醤油、みりんで味付けした惣菜で、シャキシャキとした歯ごたえが特徴。調味することで保存食としての役割も担っていた。ごはんのおかずとしてはもちろん、酒の肴やお茶づけの具としても親しまれている。

画像提供元:日本の食文化情報発信サイト「SHUN GATE」


<南部地域>
夏の訪れをつげる、霞ヶ浦の帆引き船
つくばエクスプレスの開通によって、都内からのアクセスも良い南部地域。都市整備も進み、近年はめざましい発展を見せている。



<西部地域>
江戸の風情が今も息づく農業地帯
また、名峰・筑波山の西側には農地が広がっており、レタスやねぎ、白菜、すいかなど茨城県を代表する青果物の生産がされている。農業産出額は、各地域のなかでもトップレベルである。

画像提供元:観光いばらき
西部地域に伝わる郷土料理に「すみつかれ」がある。豆や大根、人参、塩ザケの頭などを酒粕と煮こんだ煮物である。
「7軒の家の『すみつかれ』を食べたら病気にならない」という言い伝えもあり、ご近所同士で分け合っていた習慣があったことがわかる。

<鹿行地区>
黒潮と親潮が交差する、好漁場
鹿行は、県東南部に位置する地域。地域内に含まれる鹿嶋市は、大和朝廷の東国経略における拠点であり、常陸国一の宮・鹿島神宮の門前町として発達した。鹿島神宮は、神栖市の息栖神社、千葉県の香取神宮とともに東国三社の一社で、全国におよそ900社ある鹿島神社の総本社。市内に残る「宮中」の町名は、そういった歴史的背景が影響している。
地域に面した鹿島灘は、黒潮と親潮が交差する好漁場で、県の水産業を支えている。丸のまま茹でた「鹿島だこ」は地元では正月の食材として欠かせないものとなっている。また、県魚に認定されているヒラメは、茨城県沖で漁獲されたものは常磐ものとして品質が評価されている。

画像提供元:茨城県営業戦略部販売流通課

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