バランス食堂 IKOTTO 名古屋市役所西庁舎 / 愛知県名古屋市
一般利用できて、こだわりのメニューが評判の社員食堂(職員食堂)を訪ねる連載企画。
第2回は、体にも環境にも優しい食事を提供することでSDGsを実践する、
名古屋市役所西庁舎の「バランス食堂 IKOTTO(いこっと)」を紹介します。
誰でも食べに行くことができる市役所の食堂。
職員と市民に手作りのおいしさを伝える

本庁舎、東庁舎、西庁舎から成る名古屋市役所。実はいずれの庁舎にも「バランス食堂 IKOTTO」があります。ただし、メニューは庁舎によって異なります。今回訪ねたのは、西庁舎の食堂です。歴史を感じさせる重厚な建物の地下1階へ降り、入り口の扉を開けると、そこは見渡す限りたくさんのテーブル席がずらりと並ぶ大空間。平日は毎日約300人の職員や市民がランチを食べに来るため、特に12時から13時は大変なにぎわいを見せます。多くの人が集い、おいしい食事を摂りながら交流を深め、午後のための活力を蓄える。そんな場所として親しまれているようです。

厨房では朝早くから調理スタッフが食材を切ったり、煮たり、焼いたりと大忙し。こちらでは一からすべて手作りすることにこだわっています。

手間暇はかかりますが、手作りのおいしさを伝えたい、作りたてを直接手渡したいという想いから。“作る人と食べる人の顔がお互いに見える”ことを大切にしている食堂です。満足そうに平らげて「午後も仕事をがんばろう!」と出ていく姿を見るのが、調理スタッフにとって何よりうれしいとか。

メニューのカテゴリーは7種類。IKOTTOランチ(定食)/うどん・そば/丼/選べる小鉢の4種類は日替わり、ラーメン/カレー/イベントセット(ちょっと豪華な特別メニュー)の3種類は週替わり。毎日来てもらっても飽きないよう、ラインナップを日々変化させています。食堂専属の栄養士が考案するので、どのメニューも栄養バランスに優れています。
野菜豊富なメニューで健康づくりをサポート。
仕入れは地産地消にこだわって

多忙な働き盛り世代はどうしても外食が多く、野菜不足になりがち。「バランス食堂 IKOTTO」はそんな人たちの健康づくりをサポートすべく、ハンバーグに野菜を練り込む、唐揚げに野菜あんをかけるなど、あの手この手で野菜を摂取してもらうようにしています。IKOTTOランチのメイン料理は、多種類の生野菜が付け合わせとは思えないほどたっぷり盛り付けられているのが印象的。野菜不足を解消しようと、この付け合わせを目当てに食べに来るリピーターが多いとか。近頃は野菜も値上がりしていますが、大きさや形が不揃いなため市場で売れ残ってしまったものを安く仕入れるなどしてやりくりしています。食品ロス削減にも繋がる取り組みです。

愛知県内の農家で生産された野菜を使った「あいち野菜天丼」。名古屋市産の野菜が揃う時は「なごやさい天丼」と銘打ちます。このメニューに限らず、野菜はできる限り地産地消を心がけて仕入れています。鮮度が高いうえ、輸送による環境負荷を減らしたいという想いからです。

市役所職員からは「野菜をたくさん摂れるのがありがたい。最近、健康を意識するようになり、ここに通うことで野菜摂取量を増やしている」「栄養バランスがいいので安心して食べられる。毎日違うメニューを注文するのが楽しみ」といった声が多く寄せられています。
IKOTTOランチ
白身魚の香草パン粉焼き

淡白で上品な味わいの白身魚を、パセリなどの香草とパン粉をのせてふわっと焼き上げたもの。味付けはコンソメで塩分控えめ。香草とオリーブオイルで香り付けした洋風の魚メニューです。オクラのナムル、切り干し大根と油揚げの煮物の小鉢付き。十五穀米のごはんはお粥に変更することもできます。(680円)
食堂を通じてSDGsの達成に取り組む。
おいしく食べて、環境と社会に貢献

「バランス食堂 IKOTTO」を運営する(株)勤労食は、持続可能なより良い世界を目指すというSDGsの理念に賛同し、食を通したさまざまな取り組みを行っています。地産地消にこだわった仕入れや健康的なメニュー作りに加えて力を入れているのは、食育や食品ロスの削減です。同社が開発した食べられるスプーン「PACOON(パクーン)」は、国産の野菜パウダー、小麦粉、卵で作られたクッキー。野菜嫌いの子どもや大人に興味を持ってもらいたいと、食育目的で生まれたアイデア商品ですが、プラスチックごみ削減を考えるきっかけになるとして環境面からも注目されています。食堂ではイベントセットにデザートが付く時に、添えるスプーンとして時々登場します。

調理で余った大根やにんじんの皮、キャベツの芯などを具材にした「エコ粥」。食品ロスを一食当たり約20グラム減らせます。一人でも多くの人に地球環境や食の未来について考えてもらいたいと、このようなポップやポスターを食堂内のあちこちに掲示しています。

肉の代わりに大豆ミートを使うメニューも積極的に打ち出しています。大豆ミートは良質なたんぱく源であり、原料の大豆は比較的少ない水と肥料で栽培できるため、環境負荷を減らすことができます。肉とほとんど変わらない味わいだと好評です。

日本で二番目に「フェアトレードタウン」に認定された名古屋市。街ぐるみで開発途上国の生産者をサポートする運動に取り組んでいます。食堂ではグアテマラ産豆のフェアトレードコーヒーを提供し、啓発に努めています。

(株)勤労食副社長の濱崎佳寿子さん。「私たちの体は食べるものでできています。皆さんの健康を維持するにはどうしたらいいかと考えながら、日々のメニューを決めています。市役所にこうした食堂があることで、カップラーメンや菓子パンだけで昼食をすませる日が減るのであれば、うれしく思います。ここでの食事が生産者や地球環境に想いを馳せるきっかけにもなることを願っています」
今回訪れたのは…
- 愛知県名古屋市中区三の丸2-3-1
名古屋市役所西庁舎B1F - 0566-22-8151(勤労食)
- カフェ10時00分~16時00分
ランチ11時00分~14時00分
定休日 土曜日、日曜日、祝日
名古屋市役所本庁舎、東庁舎にも同名の食堂があります。
お問合せ先
大臣官房広報評価課広報室
代表:03-3502-8111(内線3074)
ダイヤルイン:03-3502-8449





