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農林水産省

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食とくらしの「今」が見えるWebマガジン

特集 3 ラーメン(国産小麦)

ラーメン用に育てられる国産小麦の物語

ラーメンに適した小麦「ラー麦」を
独自に開発し、普及に取り組む福岡県と、
「ハルユタカ」の収穫量を増やし、
ラーメンに活用した北海道・江別麦の会。
おいしいラーメンの探求から生み出され、
育まれてきた2つの国産小麦を紹介します。

福岡県民の誇り「ラー麦」

ラーメン用に開発されたラー麦は、福岡県内を中心に多くのラーメン店で採用されており、
ソウルフードのひとつ、豚骨ラーメンの味を支える貴重な材料となりました。
自治体や農業・飲食産業などに従事する、多くの県民が連携して生まれたラー麦の魅力に迫ります。

博多三氣|撮影協力:博多三氣

お話をお聞きしたのはこの方|福岡県農林水産部 水田農業振興課 農産振興係 係長 松下幸平さん|農業団体、製粉会社、県で協議会を立ち上げ、製粉と製麺の評価を繰り返した上で、日本で初めてのラーメン用小麦「ラー麦」は誕生しました。開発から15年たった今でも、ラー麦を新たに使いたいという店舗からの問い合わせや、他の自治体から問い合わせがあり、ありがたく思っています。

ラー麦とは|「ラー麦」は、福岡県がラーメンのために独自に開発した小麦の名称で、品種名は「ちくしW2号」といいます。2008年の秋から県内で一般栽培をスタートし、翌年から販売を開始しました。“ラーメン用に生まれた福岡県産小麦” であることを広めるため、「ラー麦」を「麺」に似せたロゴマークを作成し、普及活動を行っています。

品種開発の経緯|小麦の産地として知られる福岡県ですが、2000年代前半までは、主にうどんに適した品種が栽培されていました。そこで福岡県は、地産地消をアピールすることで福岡のラーメンの魅力をより高めようと、ラーメン用小麦の開発に着手したのです。福岡県農林業総合試験場で2004年に育種を始め、2007年 ラー麦の開発に成功しました。

ラー麦の特徴|製麺するとコシが強く、歯切れが良く、色が明るく、風味が良く、茹で伸びしにくいという特徴があります。穂が出そろう時期に追肥することでたんぱく質の含有率を高めるなど、おいしい麺になるよう工夫しながら育てられています。ラーメンはもちろん、焼きそばやちゃんぽんなどの中華麺、もつ鍋の締めの麺などにも使用されています。

ラー麦トリビア|「福岡の小麦で福岡のラーメンを作る」という一大プロジェクトは、地元産業界を巻き込み、地域の活性化に貢献しました。地産地消をアピールすることで、博多ラーメンのブランド化を推進し、県民からも喜ばれています。|使用登録店舗:190店|名称応募数:1,600件|使用登録業者:101社※製粉・製麺業者の他に食品加工業者なども含む

北海道江別市「ハルユタカ」の物語

北海道江別市の産学官連携組織「江別麦の会」の活動から生まれた「江別小麦めん」は、
ラーメン店や居酒屋などの飲食店、袋めんを通して、市民や観光客の食生活を豊かに彩っています。
地域経済の活性化にも貢献する小麦ハルユタカの歩みについて聞きました。

ら~めん半畳|撮影協力:ら~めん半畳

お話をお聞きしたのはこの方|江別製粉株式会社 常務取締役 山口小百合さん|「のびのびと子育てをしたい」との思いから、2000年に東京から北海道へ移住して、1948年に設立された製粉会社、江別製粉に入社しました。「北海道の小麦が持つ風味や香りをお届けしたい」という思いで、事業を積極的に展開しています。

地域連携|1998年、江別産小麦の生産振興と用途拡大のために、市内の小麦生産者や製粉会社、研究機関、大学、JA、市からなる「江別麦の会」が誕生しました。そこに製麺会社や飲食店、市民が加わり、ハルユタカを使った「江別小麦めん」を2年がかりで開発。市全体の経済活性化に貢献するなど、高い成果を上げています。

小麦生産者の努力|ハルユタカには、病気に弱く収穫量が安定しないという側面もありました。江別麦の会では、その課題解決に向けて試行錯誤を繰り返し、本来なら春にまくハルユタカの種を初冬に種をまく栽培サイクルを確立。雪の下で発芽し、冬を越す初冬まきは、春まきより早く収穫でき、病気の発生も少なく、収穫量を安定させることに成功しました。

ハルユタカの特徴|江別市が全国一の生産量を誇るハルユタカの小麦粉は、麺にした時の粘りとコシの強さに優れ、独特な甘味ともちもちした食感が楽しめます。パン用として人気に火がつきましたが、後にラーメンにも向いていると評判になりました。甘味や香り、滑らかさが評価され、特に自家製麺のラーメン職人から注目されています。

ゆるキャラとのコラボ|江別産の小麦「ハルユタカ」と、(一社)えべつ観光協会認定キャラクター「えべチュン」がコラボした「えべチュンら~めん」は地元で大人気で、キャラクターが登場するイベントも大盛況です。もともと、江別の製麺会社菊水が「江別小麦めん」を市内飲食店に卸していましたが、「家でも食べたい!」という声が高まり、誕生したのが「えべチュンら~めん」。ハルユタカの麦穂を持ったえべチュンが、江別産小麦のおいしさに感動して泣いているという、かわいらしいイラストが好評です。|江別市内の大学生の落書きから生まれたキャラだよ!

「江別を『麦の里』に」と連携したメンバーは、情熱を持ってハルユタカの収穫量アップに挑戦した結果、新名物「江別小麦めん」を生み出しました。味わいだけでなく、イベントなどでも地域を活性化、人々を楽しませています。

今週のまとめ

ラーメンをさらにおいしく、
そして地元の農業を活性化するために、
各地で小麦の開発・応用・普及が
行われています。ぜひ、ラー麦や
ハルユタカなどの
国産小麦を使った
ラーメンを味わってみてください。

お問合せ先

大臣官房広報評価課広報室

代表:03-3502-8111(内線3074)
ダイヤルイン:03-3502-8449

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