このページの本文へ移動

農林水産省

メニュー

食とくらしの「今」が見えるWebマガジン

特集 1 「花粉」の少ない森林づくり

日本は森林大国です

日本は、国土の7割近くを森林が占めています。
世界で森林面積が減少し続けている中、
日本はどのような状況にあるのか。
今回は、森のことや樹木のことを
わかりやすく解説します。

森林資源の利用と造成の歴史

人間は古くから樹木を建築用材や燃料、農業用肥料などとして役立ててきました。そして第二次世界大戦後、復興のため木材需要が急増し、森林伐採が進行。その後の高度経済成長期から現在までの森林の歴史を、専門家に教えてもらいました。

日本における森林の歴史|京都大学|大学院農学研究科教授 立花 敏さん 岩手県生まれ。博士(農学)。専門は林政学・林業経済学。東京大学助手、地球環境戦略研究機関、森林総合研究所、筑波大学准教授を経て、2024年4月より現職。2023年度日本森林学会誌論文賞受賞。著書に『入門・森林経済学』(学文社)。

高度経済成長期に針葉樹の植栽が進む 1950年代半ばからの高度経済成長に伴って木材の需要が高まり、広葉樹を伐採し、通直で成長が早く加工がしやすいスギなどの針葉樹の植栽が進められました。これを「拡大造林」と呼びます。|輸入が拡大し木材自給率が低下 1960年に「貿易、為替自由化計画大綱」が閣議決定。1971年のニクソン・ショックを経て1973年に為替レートが固定相場制から変動相場制に移行し、円高の進行に伴って木材輸入が増えました。木材自給率は2002年まで低下の一途を辿ります。 天然林伐採規制により輸入木材価格が高騰 1980年代末から米国で絶滅危惧種の保護の動きが広がり、天然林伐採に規制が生じ、丸太輸出が減少しました。マレーシアのサバ州でも1993年に原木丸太輸出が禁止となり、この時期に輸入丸太価格が高騰しました。|人工林が成長し木材生産量が増加 2001年に「森林・林業基本法」が制定され、森林の多面的機能が重要視されるようになりました。近年、人工林資源の充実や国内の木材産業の加工技術の向上などを背景として、木材自給率が上昇しています。 建築物の木材利用を段階的に促進 2010年に「公共建築物等木材利用促進法」が制定され、公共建築物での木材利用が進んでいます。2021年の法改正により対象が建築物一般に拡大し、木材利用促進への取り組みが加速しています。|バイオマス発電所が燃料としての利用を推進 世界的に再生可能エネルギーに注目が集まる中、日本では2010年代から、木質バイオマスを燃料とするバイオマス発電所が、全国各地に建設され、燃料としての利用が増加しています。 所有と経営を分離し森林を効率的に管理 2019年に施行された「森林経営管理法」のもとで、市町村が主体となって森林の経営管理を担う森林経営管理制度が始まりました。森林所有者から経営管理の委託を受けた市町村が地域の林業経営者に再委託できるようになり、経営管理の効率化が進んでいます。|花粉の少ない森林を次世代に引き継ぐ 2033年までに花粉の発生源となるスギ人工林を約2割、2053年までに約5割削減させることを目標として、スギ人工林の伐採と花粉の少ない苗木への植替え等が推進されています。

森林資源の基礎知識

たくさんの樹木によって成り立っている森林は、どのような樹木が多いのか。戦後、その割合と造林面積は、どのように変化したのか。針葉樹と広葉樹の違いや天然林と人工林の違いも説明します。

戦後の樹種別造林面積の推移

スギ ヒノキ マツ類 カラマツ その他針葉樹 広葉樹 出典:令和5年度 森林・林業白書より(林野庁 整備課調べ)

針葉樹と広葉樹の違い

針葉樹・広葉樹 かたさ:やわらかい[ソフトウッド]・かたい[ハードウッド] 重さ:軽い・重い 主な用途:建築材など・床材、家具など 代表的な木:スギ、ヒノキ・サクラ、モミジ

天然林と人工林

天然林てんねんりん 自然の仕組みで成り立っている森林のことです。さまざまな種類、樹齢の木が混在していますが、人が手を加えなくても自然に森林が持続していきます。日本の天然林の多くは広葉樹林です。天然林で人の手が一切入っていない森林を原生林と言います。

人工林じんこうりん 人が苗木を植えて育てている森林で、主にスギやヒノキなどの針葉樹が植えられています。苗木の周囲に生えた雑草木を刈り取る「下刈り」や、成長した木の一部を伐採し、立木密度を調整する「間伐」など、定期的な手入れが必要です。成長した後は伐採して木材として利用します。

日本の森林トリビア

身近な存在であるはずの森林のことを、私たちは意外と知りません。世界と比べて日本はどのような状況にあるのか。木材として活用できる幹の体積を示す森林蓄積も、実は増え続けているのです。

01 国土の7割近くが森林

森林66% 農地12% 宅地5% その他17% 国土面積3,780万ヘクタール 出典:令和6年 林野庁「森林・林業・木材産業の現状と課題」

02 日本は世界有数の森林大国

OECD加盟国 森林率ランキング 1:フィンランド 2:スウェーデン 3:日本 4:韓国 5:スロベニア 6:コスタリカ 7:エストニア 8:ラトビア 9:コロンビア 10:オーストリア |人工林面積ランキング 1:中国 2:米国 3:ロシア 4:カナダ 5:スウェーデン 6:インド 7:ブラジル 8:日本 9:フィンランド 10:ドイツ 出典:令和6年 林野庁「森林・林業・木材産業の現状と課題」

03 森林蓄積は増加傾向 単位:億m3

人工林・天然林 昭和41:5.6・13.3 昭和61:13.6・15.0 平成14:23.4・17.0 平成24:30.4・18.6 令和4:35.5・20.1 出典:令和6年 林野庁「森林・林業・木材産業の現状と課題」

今週のまとめ

林業の生産性向上や森林管理の効率化など
日本では、時間をかけて森林を取り巻く
状況を改善してきました。
そして今も、さまざまな取り組みを
進めています。

お問合せ先

大臣官房広報評価課広報室

代表:03-3502-8111(内線3074)
ダイヤルイン:03-3502-8449

PDF形式のファイルをご覧いただく場合には、Adobe Readerが必要です。
Adobe Readerをお持ちでない方は、バナーのリンク先からダウンロードしてください。

Get Adobe Reader