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食とくらしの「今」が見えるWebマガジン

特集 1 「花粉」の少ない森林づくり

日本の森林最新レポート

林業の現場では花粉の発生源を減らす
取り組みが進んでいます。
公共施設やオフィスビルなどに
木材を利用する動きも進み、
「伐って、使って、植えて、育てる」資源の
循環利用 が活発になっています。

森林整備の最前線

林業の担い手のひとつが、森林所有者の協同組織である森林組合です。栃木県北部の高原林業地を拠点とする、たかはら森林組合では、伐採、植替えの循環を促すため独自の取り組みを推進しています。

森林組合の主な仕事

整備 主伐や植栽、下刈り、間伐などの整備作業に加え、苗木への防護ネットの取り付けなどの獣害対策、高性能林業機械を駆使して作業の効率化を図るなど、生産性の向上にも積極的に取り組んでいます。 販売 伐採した丸太を、木材市場である矢板木材共販所を通じて販売する他、製材所などへの直接販売も行い、森林所有者の所得向上と国産材の安定供給に貢献。森林資源の循環利用を推進しています。 花粉発生源対策の取り組み:「たかはら森林組合では、花粉症対策を考慮したスギ林の伐採、花粉の少ないスギ苗木による植替えを推進しています。また、森林所有者から立木を買い取り、伐採後の植栽、5年間の下刈り経費を負担しています。こういった事業を効率的に実施するため、計画的に道の整備をしています。」(業務1課長 村山博充さん) 路網整備・集約化を推進 伐採・植替えを効率的に進めるため路網を整備し、作業を集約化しています。 集約化団地(搬出間伐) 林業専用道 森林作業道 林道 多角化経営 那須塩原市の観光名所もみじ谷大吊橋で、レストランと販売施設がある森林の駅を管理・運営しています。県外からも多くの観光客が訪問。レストランではご当地グルメ「スープ入り焼きそば」が人気です。 林産物の販売 森林の駅では、地元産材を使用したまな板や踏み台、器などの林産物を販売。他にも丸太をチェーンソーで削るアート作品「チェーンソーアート」を展示し、林産物の魅力を伝えています。

海外へも輸出!スギ需要の拡大

花粉発生源対策では伐採したスギ材を有効活用していくことが重要です。木材の需要を喚起するためには、木材住宅における国産材使用割合の低い横架材等への利用拡大や中高層建築物等の木造化・木質化の推進、あわせて木材輸出拡大も重要です。

木材輸出額の推移

年:億円|2013:123 2014:178 2015:229 2016:238 2017:326 2018:351 2019:346 2020:357 2021:475 2022:527 2023:505 2024:538 木材輸出額は増加傾向 出典・林野庁資料

2024年木材輸出先国別ランキング

国名:億円|中国:297 フィリピン:89 アメリカ:56 韓国:32 出典・林野庁資料

木材の需要量は1996年以降減少傾向でしたが、近年は木質バイオマス発電施設の増加により回復傾向にあります。さらに木材の需要を喚起するためには、木造住宅の国産材利用の拡大、中高層建築物の木造化、木質化の推進、さらに輸出にも力を入れる必要があります。

木材を利用した美しい建築物

国内各地で、中高層建築物等の木造化・木質化が進んでいます。令和6年度木材利用推進コンクールの受賞作品と、ウッドデザイン賞2024受賞作品の一部を紹介します。 令和6年度木材利用推進コンクール内閣総理大臣賞 野村不動産溜池山王ビル 木質化した東京都内の中高層オフィスビル。木質ハイブリッド技術により高層木質建築物に必要な高い耐火性、耐震性を実現。3次元で建物の建築情報を管理できるBIMを活用することで、使用するほぼすべての木材を国内から調達しました。 令和6年度木材利用推進コンクール農林水産大臣賞 立野交流施設(立野駅) 熊本県阿蘇郡にあるJRと南阿蘇鉄道の立野駅舎を交流の場としても利用できるよう待合室やテラスを設置して建設。屋根やトイレなどを木造化、内外装、家具などを木質化しています。木材のほぼ8割は熊本県をはじめとする地域産材です。 令和6年度木材利用推進コンクール林野庁長官賞 ウッドライズ仙台 宮城県仙台市のオフィスビル。使用する木材は、東北地方で調達しました。岩手県産カラマツから製造した耐火集成材を大通りに面した部分に配置することで、街を歩く人たちに木材を使った建物ができたことを印象づけています。 ウッドデザイン賞2024国土交通大臣賞 DLT恒久仮設木造住宅 能登半島地震被災地の応急仮設住宅を、恒久的な公的住宅とすることを計画して建設。接着剤を使わず、木ダボと呼ばれる小さな木の棒を、複数の木材に貫通させたパネルを使うことで、短期間での建設を実現しています。

今週のまとめ

林業の現場では、花粉の少ない
スギへの植替えを進めるための取組が
行われています。
建築分野を中心に、
スギ材の需要が拡大しています。
日本の森林は、これからもより良い姿に
変化していきそうです。

お問合せ先

大臣官房広報評価課広報室

代表:03-3502-8111(内線3074)
ダイヤルイン:03-3502-8449

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