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農林水産省

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食とくらしの「今」が見えるWebマガジン

特集 2 スマート農業

密着!スマート農業でどう変わる

2019年に始まった「スマート農業実証
プロジェクト」で幕を開けた日本のスマート農業。
導入する生産者が全国に広がっていますが、
なかでもいち早く導入し、実績を上げている
愛知県のハウス栽培生産者と岡山県の
露地栽培生産者に話を聞きました。

元エンジニアが スマート農業をけん引

企業に勤めるエンジニアから生産者に転身したきゅうり農家の下村堅二さん。その経験と知識が、栽培はもちろん、集荷場のスマート化でも大いに役立っています。地元の生産者の結束にもつながり、日本のハウス栽培のスマート化をけん引する存在に。

JA西三河きゅうり部会下村堅二さん メーカーで生産技術エンジニアとして勤務後、33歳で就農。施設きゅうり栽培のスマート化や集荷場の選果機の企画設計を手掛け、JA西三河きゅうり部会の運営もサポートする。 ハウス内の環境をリアルタイムで把握 「あぐりログ」がハウス内の環境を24時間モニタリング。地上部では温度、湿度、二酸化炭素濃度を、根域では土壌温度、土壌水分率、水溶性塩類量などを計測し、栽培に最適なプログラムにつなげます。 取得したデータを活用し自動的に環境を制御 統合環境制御装置「プロファーム」でさまざまなデータを取得し、かん水や温度調節などの自動化を実現。作物の育成に最適な環境を自動的に保つことができます。 スマートフォンが大活躍生産者間のデータ共有も 地元の生産者グループで「あぐりログ」のモニタリングデータを共有。労務管理ツール「agri-board」で労務データ分析を行い、適切な人員配置が可能に。従業員の作業管理や勤務内容の指示にも活躍しています。 モニタリング&情報共有 屋外センサーとハウス内センサーの両方で環境をモニタリング。暖房機や遮光カーテン、かん水などが自動で調整され、あらかじめ設定した最適な状態に保たれます。 屋外センサー リアルタイムモニタリング ハウス内部 環境モニタリング 温度 湿度 CO2 日射量 培地温 培地水分量 培地EC 養液モニタ装置 流量・ECセンサー 排液測定 ヒーター 給液測定 労働時間10%DOWN 収穫量40%UP 情報共有 スマート農業の好循環 JA西三河が取り組むスマート農業は、栽培分野だけに限らず、生産者から消費者に農産物を届ける各分野でのスマート化が成果を上げています。 01スマート農業技術 モニタリングデータを活用して栽培に最適な環境を設定。かん水量や温度、二酸化炭素量などを自動でコントロールし、収穫量予測に従って労働力の効率化と合理的な管理が可能に。農場間でデータを共有し、産地全体をレベルアップ。 02販売のスマート化 生産者からアップされるデータや天気予報などをベースにした出荷予測モデルをもとに、2週間先までの産地全体の出荷量を予測。生産状況にあわせた安定した販売につなげます。 03物流のスマート化 積み込み時刻や積荷量が直前まで確定せず、非効率になりがちな青果物流。出荷予測情報を事前に共有することで産地と物流が連携し、物流の効率化などを目指します。 04袋詰め販売のスマート化 産地での自動袋詰めに加えて、生産者情報などのトレーサビリティをはじめ、産地から発信する農家レシピやキャラクターのSNS情報などのラベルを自動作成し、高付加価値化。 農業の生産者は、アスリートのコーチのような存在。現在のスポーツ界では、より効率的に高い成績を上げるためのデータ活用が欠かせませんよね。農業も同じで、より多くの品質の高い作物を、良い状態で安定的にお届けするために、スマート農業を活用しています。

加工・業務用野菜に特化して 一貫体制を構築

気候の影響を大きく受ける露地栽培で、輸入比率の高いキャベツ、たまねぎ、かぼちゃを栽培する農業生産法人の(有)エーアンドエス。2020年から「スマート農業実証プロジェクト」に参加し、加工・業務用野菜に特化した、スマート農業一貫体制の構築に取り組んでいます。

農業生産法人(有)エーアンドエス|社長 大平貴之さん 育種ブリーダーとして勤務後、2003年に2ヘクタールの農地でエーアンドエスを立ち上げる。加工用野菜に特化して大規模&スマート化を推進し、現在は農地を20倍以上に拡大。

腰を曲げずに重たいキャベツを収穫 腰を曲げて一つずつ収穫し、重いキャベツを運搬するという困難が伴っていたキャベツの収穫作業。自動収穫機の導入により、作業者はコンテナ台に乗ったまま、スピーディな一斉収穫が実現しました。 自動かん水システムで育苗が飛躍的に合理化 水分センサーの値をフィードバックし、目標含水率を下回ると自動的にかん水するシステムを導入。これにより育苗作業の手間が飛躍的に合理化。自動収穫機に必要な作物の品質均一化にも役立ちます。 ICT活用による持続可能な農業 不揃い→揃っている 育苗自動化による管理時間低下 6時間/日→2.5時間/日|農業労働のサステナブル化 女性、パート、高齢者、障がい者が働きやすく|ドローンによる投下労働時間 -50.3%|ロボットトラクターによる投下労働時間 -30.8% スマート化により大きく揃った玉に|国産野菜シェアUP 輸入率が高く、重くて作業が大変な野菜を中心に、加工用や業務用に特化して、大規模化、スマート化を視野に入れた農業を始めました。子どもの頃から腰が曲がった農家のおばあさんを見てきたので、スマート化により、誰でも長く働ける環境を整えたいと思っています。

国産野菜シェア奪還プロジェクト

国産野菜にチェンジ 現状:輸入に依存 国産が品薄になる時期に外国産が多く輸入されているため、周年安定供給体制の構築が必要。|将来:国産に転換 産地の多様化、冷凍などの保存技術の活用などにより周年安定供給体制を実現。 日本で消費される野菜は、約6割が加工・業務用。そのうち約3割が輸入に占められています。海外調達の不安定化によるリスク軽減のため、農林水産省では、加工・業務用を中心とした国産野菜の生産と活用の拡大を図る「国産野菜シェア奪還プロジェクト」を実施。生産・供給の事業者を結ぶサプライチェーンを構築します。

今週のまとめ

スマート農業は生産者の労働効率化や作物の品質向上だけでなく
物流を含めた
産地と消費者の好循環を生み出します。
また、どんな人でも長く働ける
サステナビリティを確保します。

お問合せ先

大臣官房広報評価課広報室

代表:03-3502-8111(内線3074)
ダイヤルイン:03-3502-8449

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