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東北地方 福島県

福島県

山地、海、河川に恵まれ、豊富な農林水産物が育つエリア

東北地方の最南端にあり、関東との接点に位置する福島。面積は13,784.14平方キロメートルと広大で、全国では北海道、岩手県に次いで3番目の広さを持つ県となる(国土交通省 国土地理院「全国都道府県市区町村別面積調」)。奥羽山脈を始めとした山々、日本海、太平洋はもちろんのこと、阿武隈川や猪苗代湖などの河川・湖沼、県唯一の潟湖である松川浦などの豊かな水源もあり、自然あふれる土地柄を持つ。その美しい風景は全国的に知られており、尾瀬国立公園や日光国立公園などの国立公園に多く指定されているほどだ。

取材協力:学校法人永和学園 日本調理技術専門学校

自然に囲まれたエリアだからこそ、その恩恵を受けて作物の生産や漁業も盛ん。さまざまな農林水産物が生産・出荷されているが、中でも特に生産量が多いのは、「ふくしまイレブン」と呼ばれる米、きゅうり、アスパラガス、トマト、もも、日本なし、りんどう、福島牛、地鶏兄弟(川俣シャモ、会津地鶏)、ナメコ、ヒラメの11種。さらに、さやいんげんやりんご、こんにゃく芋なども全国的に上位の生産量を誇っている(福島県農林水産部「福島県農林水産業の現状」)ほか、特に果物の生産が多いことから「くだもの大国」とも言われている。
海は南からの黒潮と北からの親潮がぶつかり合う潮目になっており、漁場としても恵まれたエリア。サンマやカツオ、タコ、ヒラメ、メヒカリなどたくさんの魚介類が水揚げされる。また郡山市はコイの生産量が市町村別で全国第1位、令和元年度の養殖鯉生産量は747トンで、福島全体の生産量のうち8割を占めているという(郡山市「鯉に恋する郡山プロジェクト」)。

隣接県の影響をふんだんに受けた多彩な食文化

福島県は阿武隈高地と奥羽山脈を境として、「中通り」「会津地方」「浜通り」と三つのエリアに分けられる。浜通りは太平洋に面しており、中通り、会津地方は茨城県、栃木県、群馬県、新潟県、山形県、宮城県の6県と接している。近隣のエリアの食習慣から影響を受け、多彩な食文化が根づいているのが特徴だ。
また、たくさんの農作物が生産されているエリアではあるが、冬季は積雪地帯になるため、昔は冬の農作業が難しく、それゆえに保存食「凍み餅」や「凍み豆腐」の文化もはぐくまれてきた。葛尾村をはじめとして食べられている「凍み餅」は、1~2月頃に軒先に餅をつるして寒風にさらし、乾燥させて作る。一方「凍み豆腐」は豆腐を凍らせてから戻し、2週間ほど乾燥させる。冬は特に北西からやって来る強い季節風「吾妻おろし」が吹くため、この風をいかした「凍み」の食文化が根づいていったと言われている。

多彩な食文化をはぐくむ福島県。浜通り中通り会津地方それぞれの郷土料理を紹介しよう。

<浜通り>
太平洋に面した温暖な気候

太平洋に面した温暖な気候で、梅雨の時季と秋には雨量が増えるエリア。冬は県内のほかの地域に比べると暖かく、雪もあまり降らないのが特徴となっている。相馬市や南相馬市、双葉町、浪江町などの相双エリアといわき市を中心としたいわきエリアに分かれている。

福島県沿岸部ではほっき貝がよく取れる。相馬・双葉沖では、明治時代から漁が行われており、長い間ほっき貝の名産地として知られてきた。相馬・双葉沖のミネラル豊富な海水はほっき貝の成長に影響をもたらし、比較的大きくて甘味とやわらかな食感があるほっき貝を取ることができるのだという。このほっき貝を使った郷土料理として知られているのが、「ほっきめし」。ごはんがほっき貝のだしを吸いこみ、旨味たっぷりに仕上がる。
するめいかとにんじんを細切りにし、醤油とみりんの甘辛いたれに漬けた「いかにんじん」は、中通りの中でも北部で食べられるおかず。にんじんとするめの食感と甘味のあるつけだれがクセになり、ご飯がよく進む一品となっている。現在はスナック菓子の味に採用されたり、かき揚げや炊き込みご飯などのアレンジ料理が展開されたりと、いろんな形で愛され続けている。
そのほか、いわき市には「いわき七浜」と呼ばれる浜があり、一年中多様な魚介が水揚げされているが、特に秋に盛んに漁を行っているのが、サンマ。そしてサンマを使った料理の中でもよく食べられているのが「サンマのポーポー焼き」である。さんまをミンチにして、ハンバーグのように丸めて焼く。サンマを炭で焼くときにサンマの油で火がポーポーと燃えあがることからこの名が付いたと言われている。
もち米を食べやすい大きさに丸めて、いって砂糖で味付けしたじゅうねんを振りかける「じゅうねんぼたもち」は、通常あんこやきなこで包むぼたもちを、じゅうねんで作るところが特徴。じゅうねんとはえごまを指し、食べると十年長生きすると言われるほど栄養価が高いことや、収穫した種子が10年経ってもまけば芽を出すことから、この名が付いたとされている。福島では健康食品として親しまれており、じゅうねんを使った郷土料理が多く存在する。

<中通り>
四季折々の花、フルーツ王国

日本海側、太平洋側の間に挟まれた中通りは盆地が多く、夏は暑く、冬は冷たい風が吹いて積雪にも見舞われる地域。県北、県中、県南エリアに分かれており、県北は福島市や二本松市、本宮市、伊達市など、県中は郡山市、田村市、須賀川市、古殿町など、県南は白河市、矢祭町、棚倉町、矢吹町、塙町、鮫川村などを中心とした個性豊かな市町村がある。
例えば郡山市では、コイの生産が盛ん。江戸時代に会津藩の家老・田中玄宰が各家庭に池を作ってコイを育て、飢饉(ききん)に備えるように奨励したことから始まったとされている。そこから各地の士族が貯水池でコイの養殖を始め、生産量が増えていった。また、養蚕が盛んであったことから、コイのエサである「蚕のさなぎ」が手に入りやすかったこともまた、生産増加の理由の一つとなっている。猪苗代湖からのミネラル豊富な水で育ったコイは臭みが少なく、山形や秋田、長野など県外への出荷も多い。
唐揚げやあんかけなどさまざまな料理に使用される中、「鯉の甘露煮」は田中玄宰が作らせた料理だと言われる郡山の郷土料理。たっぷりの砂糖と水あめ、醤油や酒を使い、甘辛く煮込むため、コイの臭みなどを感じさせず、旨味が詰まった一品に仕上がっている。あるいは、新鮮なコイをそのまま食べる「鯉のあらい」は、福島の代表的な鯉料理の一つ。みずみずしい郡山のコイだからこそ加熱せずにおいしく食べられる。
古殿町など福島の一部の地域ではバレイショのことを「かんぷら」と呼び、主食として食べる文化が根づいている。このかんぷらを皮のまま味噌や砂糖、みりんなどと炒めて作るのが、「みそかんぷら」。バレイショを生産している農家で、出荷できないほど小さな芋を家庭で食べるために考案されたアイデア料理だ。甘い味噌の味つけはおやつにぴったりで、大人から子どもまで楽しめる一品となっている。するめいかとにんじんを細切りにし、醤油とみりんの甘辛いたれに漬けた「いかにんじん」は、中通りの中でも北部で食べられるおかず。にんじんとするめの食感と甘味のあるつけだれがクセになり、ご飯がよく進む一品となっている。現在はスナック菓子の味に採用されたり、かき揚げや炊き込みご飯などのアレンジ料理が展開されたりと、いろんな形で愛され続けている。

<会津地方>
豊かな自然と歴史がはぐくむ食文化

会津地方は、夏は山地で涼しくなるが、盆地は蒸し暑くなる。一方冬の積雪量は多く、気温もほかのエリアに比べてさらに低くなる。北側の会津エリアは会津若松市、喜多方市、金山町、西会津町などがあり、南会津エリアは南会津、檜枝岐村、下郷町などの町が広がっている。
じゅうねんをすりつぶし、味噌や酒、砂糖、みりんなどを加えてたれを作り、つぶしたご飯に塗って焼き上げる「しんごろう」は、とある若者の名前からその名が付いたとされている。正月に餅を食べられなかったしんごろうが、餅の代わりにご飯をつぶして丸め、じゅうねんみそをつけて焼いたところおいしく出来上がり、彼の母も喜んだことからこう呼ばれるようになった。特に下郷町や南会津町で食べられており、シンプルでありながら優しい味わいの郷土料理だ。
浅めに作られた会津塗の「手塩皿」に、貝柱のだしで煮込んだきくらげ、わらび、里芋など、豊富な具材を盛りつけた「こづゆ」は100年以上前から食べられており、昔は「一の重」「二の重」あるいは「一の露」「二の露」と二つのおわんに分けて供されていたが、昭和60年代頃からは一つのおわんで「こづゆ」として提供されるようになったという。
「身欠きにしん」に山椒の葉をかぶせ、醤油や酢、酒で味付けをする「にしんの山椒漬け」は会津若松周辺でよく食べられており、「にしん鉢」と呼ばれるさんしょう漬け専用の器があるほど慣れ親しまれている。福島に生魚の流通がほとんどなかった江戸時代、北海道で取れたにしんを乾燥させて「みがきにしん」にし、道外に流通させた。これが会津地方に運ばれるようになり、保存が利く、タンパク源になるという理由から重宝されるようになったとされている。

福島県の主な郷土料理

  • いかにんじん

    いかにんじん

    するめいかとにんじんを細切りにし、醤油とざらめ、またはみりんの甘辛いたれに漬け...

  • こづゆ

    こづゆ

    福島県には、会津塗と言われる赤い漆塗りの器がある。この会津塗のなかでも、浅めに...

  • にしんの山椒漬け

    にしんの山椒漬け

    福島に生魚の流通がほとんどなかった江戸時代、北海道で獲れたにしんを乾燥させて...

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