17の目標と食品産業とのつながり:目標5に対する取組
17の目標と食品産業とのつながり

この目標は、女性が潜在能力を十分に発揮して活躍できるようにするため、教育や訓練の充実はもとより、有害な慣行を含め、女性と女児に対するあらゆる形態の差別と暴力をなくすことを目指しています。経済分野においても、あらゆるレベルの意思決定において女性の平等な参画とリーダーシップの機会の確保が求められています。
- 上記の目標の訳は、どなたにでもわかりやすいよう、公益財団法人 日本ユニセフ協会の広報資料から引用しています。
- 各企業の取組の多くは、SDGsの複数の目標に関連しています。
この目標をめぐる状況
【日本では】
2018年の日本の就業者に占める女性の割合は44.2%で、諸外国と比較して大きな差はありません。しかしながら、同年の管理的職業従事者に占める女性の割合について見ると14.9%であり、諸外国と比べると依然として際立って低い水準となっています。(令和元年版男女共同参画白書より)
2018年の雇用者(役員を除く)における非正規雇用者の割合をみると、男性22.2%に対し、女性は56.1%です。また、正規雇用者の仕事からの年間収入階級別割合を男女別にみると,男性は2018年平均で500~699万円が22.8%と最も高く,次いで300~399万円が19.8%である一方、女性は200~299万円が28.1%と最も高く,次いで300~399万円が23.7%となっています。(総務省平成30年「労働力調査」より)
第1子出産後の女性の継続就業割合は53.1%(2015年度)であり、いまだに半数近くの女性が出産を機に離職しています。さらに、男性の子育てや家事に費やす時間も先進国中最低の水準でり、こうした男女とも仕事と生活の調和をとることが難しい状況が女性の継続就業を困難にし、少子化の原因の一つになっていると考えられます。(平成30年版厚生労働白書より)
【世界では】
パートナーを持ったことがある15歳から49歳の女性の18%が、パートナーからの物理的・性的暴力を過去12か月以内に経験しています。90か国からのデータによると、女性が行う無償の育児・介護・家事時間は男性の3倍です。早婚は大幅に減少しましたが、いまだに20歳から24歳までの女性の30%が18歳未満で結婚しています。少なくとも2億人の少女・女性が性器切除を受け、その半数が西アフリカです。
国会議員の24%が女性です。労働者の39%が女性ですが、管理職に占める女性の割合は27%にとどまっています。(国連SDGsレポート2019より)
この目標と食品産業
食品産業は他産業に比べて女性の就業率が高い産業です。今後も人手不足が深刻化する中で、将来にわたって優れた人材を確保するためには、女性が働きやすい職場環境や、その能力が育ち活躍しやすい仕組みの構築が不可欠です。
各社の取組
味の素株式会社
https://www.ajinomoto.com/jp/activity/[外部リンク]
味の素グループでは「女性人財の育成委員会」を設置し、一人ひとりの専門性やスキルに合わせた育成を行って継続的な女性登用につなげています。さらに「在宅勤務」や「子ども休暇」などの制度の充実や、事業所内保育所の開設など、具体的な方策により仕事と家庭の両立を支援しています。
今後、当該委員会が関連部門と連携しながら、人財要件に対する女性従業員のポテンシャルと、一人ひとりが持つ専門性や特別なスキル(経験・語学・資格)などを把握し、計画的な育成を行い、継続的で着実な登用につなげていきます。
また、育成プログラムのひとつとしてメンター制度を導入し、直属の上司以外のメンターによる多面的な育成を行います。
日本コカ・コーラ株式会社
https://www.cocacola.co.jp/sustainability[外部リンク]
日本コカ・コーラでは、2020年までに女性管理職比率を30%にするとの目標の下、女性社員の能力開発、女性社員同士のサポート体制の強化、リーダーシップ人材の育成、働きがいのある環境づくりなどに注力しています。
また、コカ・コーラシステムの製品原材料の生産者に着目し、農業で活躍する女性を応援するプログラムを実施しています。
株式会社ヤクルト本社
https://www.yakult.co.jp/csr/basic/index.html[外部リンク]
ヤクルトグループでは、世界で8万人超のヤクルトレディが宅配システムを中心とした健康に寄与する商品のお届けのほか、健康的な生活習慣の定着に向けた啓発活動や、地域貢献活動に取り組んでおり、就労等の機会を通じて、女性の活躍を推進しています。
ヤクルトレディに対しては、小さな子どもがいる、仕事と家庭を両立したい方々など、本人の状況に応じて、働きやすい労働環境を提供しています。具体的には、ヤクルトでは約40年前から職場に保育所を設置して働く女性をサポートし、現在国内約1200か所の保育所を設置しています。
また、商品知識、接客マナーなどの教育研修はもちろん、先輩ヤクルトレディやマネージャーなどによるサポートを充実し、また、携帯端末で日々の売上など管理できるようにしているほか、電動アシスト自転車等の導入などにより、業務の効率化や労働環境の改善にも取り組んでいます。
就労機会の創出は、全世界で8万人超であり、海外でのロールモデルとなっています。例えば女性が積極的に活動できる環境が整っていなかったインドネシア等において、ヤクルトレディの採用が広がっています。担当エリアを自宅近くにしたり、充実した研修や社員によるきめ細かいフォロー等によりモチベーション向上を図るなどしながら、本人や家族が安心して働き続けられるよう支援を行っています。
これらの取り組みを通じて、「時代も国境もこえて親しまれる宅配サービス」との評価を受けています。
あさひ製菓株式会社
https://www.kasinoki.co.jp/sdgs/index.html[外部リンク]
あさひ製菓株式会社では女性が働きやすい環境づくりを行い、女性従業員の活躍を応援しています。

山口県の、「やまぐち女性の活躍推進事業者」「誰もが活躍できるやまぐちの企業」にも認定されており、業務の効率化に努め毎週木曜日と日曜日をノー残業デーに設定するとともに、時間外業務を30%削減するという目標をかかげ、ライフワークバランスを大切にした働きやすい環境作りを積極的に行っています。
具体的には、行政の支援を受けながら「働き方改革ミーティング」を開催し、各自の業務の棚卸をすることで、「時差出勤での店舗対応」「チーム内の徹底した情報共有」「社内ネットワークの活用によるチーム内外の引継ぎ業務の円滑化」など業務の改善と効率化を図ることができました。
取組の結果として、時間外労働時間数は全社で31,315時間(2018年4月~2019年3月)から25,815時間(2019年4月~2020年3月)になり、約18%の削減を実現しました。時間外労働時間を30%削減するという目標の達成に向け引き続き努めていきます。
※¹ 2018年現在の日本の管理的職業従事者に占める女性の割合は14.9%(内閣府男女共同参画白書 令和元年版より)
お問合せ先
大臣官房 新事業・食品産業部 新事業・食品産業政策課
代表:03-3502-8111(内線4139)
ダイヤルイン:03-6744-2065