「三平汁(さんぺいじる)」は塩づけした魚と、保存のきく野菜を煮こんだ料理です。200年も前から食べられていた料理で、1783年に書かれた「東遊記(とうゆうき)」という本の中に、三平汁についての記録があります。江戸時代(えどじだい)から明治時代(めいじじだい)にかけて活躍(かつやく)した探検家(たんけんか)の日記にも三平汁のことが書かれています。名前の由来は、松前藩(まつまえはん)(現在の松前郡松前町(まつまえぐんまつまえちょう)周辺)の齊藤三平(さいとうさんぺい)という人がはじめた料理という説や、有田焼(ありたやき)の三平皿という深皿に盛ることからなどの説があります。
「三平汁」には北海道でよくとれるサケ、タラ、ニシンなどの魚を使います。冷蔵庫がなかった時代は、生の魚を保存するため塩づけにしていました。塩づけの魚をダイコンやジャガイモなどの野菜と煮こみ、魚についた塩だけで味をつけます。食べずに捨てられることの多い魚の頭や中骨などもいっしょに煮こむと、いっそううま味が加わります。寒い日に食べると、おなかの中からからだを温めてくれる料理です。