このページの本文へ移動

農林水産省

メニュー

食品中の脂質とトランス脂肪酸濃度

2018年3月30日作成


農林水産省は、食品中のトランス脂肪酸の含有実態を把握し、消費者や食品事業者の皆様に情報提供するため、国内で流通するさまざまな食品を調査しました。このページでは、調査の背景や目的、その結果をご紹介します。

調査の背景と目的

脂質の主な成分である油脂 は、グリセリンと脂肪酸 が結合したものです。これをアシルグリセロールといい、結合する脂肪酸の種類や数(1~3個)によって多くの種類があります。脂肪酸には、炭素の数や二重結合の数などの違いにより、多くの種類があります。このうち、二重結合がないものを飽和脂肪酸、二重結合があるものを不飽和脂肪酸といいます。不飽和脂肪酸には、二重結合のまわりの構造の違いにより、シス型(水素原子が二重結合をはさんで同じ側にあるもの)、トランス型(水素原子が二重結合をはさんで反対側にあるもの)があります。トランス型の二重結合が一つ以上ある不飽和脂肪酸を、まとめて「トランス脂肪酸」といいます。

脂肪酸の種類

飽和脂肪酸・不飽和脂肪酸の例

  名称 炭素
の数
二重結合
の数
二重結合
の構造
化学構造
飽和
脂肪酸
パルミチン酸 16 0 -  パルミチン酸
ステアリン酸 18 0 -  ステアリン酸
不飽和
脂肪酸
オレイン酸 18 1 シス型  オレイン酸
エライジン酸 18 1 トランス型  エライジン酸
バクセン酸 18 1 トランス型  バクセン酸
ドコサヘキサエン酸
(DHA)
22 6 シス型  ドコサヘキサエン酸

トランス脂肪酸には、天然に食品中に含まれているものと、油脂を加工・精製する工程でできるものがあります。天然の不飽和脂肪酸はほぼシス脂肪酸ですが、牛肉、牛乳や乳製品等の食品中の油脂にはわずかにトランス脂肪酸が含まれています。油脂の加工・精製工程では、油を液体から固体にするための水素添加によって、トランス脂肪酸ができる場合があります。このため、トランス脂肪酸は、水素添加をした油脂を原材料とする食品に比較的多く含まれている可能性があります。もし、このような食品から多くのトランス脂肪酸をとり続けてしまうと、冠動脈性心疾患のリスクが高まることを示す研究結果が、脂質の摂取量が多い諸外国で報告されています。

農林水産省は、平成17-19年度に、日本人のトランス脂肪酸の摂取量を推定するための調査研究を実施しました。この結果、日本人の平均的なトランス脂肪酸の摂取量は、WHO(世界保健機関)の勧告(目標)基準である、総摂取エネルギー比1%未満であることを明らかにしました。また、食品安全委員会は、平成24年3月に、農林水産省の調査研究の結果等を用いて、食品に含まれるトランス脂肪酸の健康影響〔外部リンク〕を評価しました。この結果、トランス脂肪酸の摂取量について、「日本人の大多数がWHOの勧告(目標)基準であるエネルギー比1%未満であり、また、健康への影響を評価できるレベルを下回っていることから、通常の食生活では健康への影響は小さいと考えられる」と結論しました。

一方、脂質が多い食事をしている人は、トランス脂肪酸を多くとってしまう可能性があります。健やかな食生活を送るためには、同じものばかりを食べるのではなく、いろいろな食品をバランスよく食べることが重要です。また、食品事業者は、より安全な食品を消費者に提供するため、食品に含まれるトランス脂肪酸の低減対策を進めています。

農林水産省は、食品中のトランス脂肪酸の含有実態を把握し、消費者の皆様・食品事業者の皆様に情報提供するため、国内で流通する様々な食品について調査を行いました。

平成28年度調査結果(揚げもの・調理冷凍食品)

市販の揚げもの・調理冷凍食品を調査した結果、トランス脂肪酸濃度は、揚げものの約7割、調理冷凍食品の約9割で、消費者庁がトランス脂肪酸の含有量を「0 g」と表示できるとしている、食品100 g中0.3 g未満でした。

平成26・27年度調査結果(穀類加工品、乳類、油脂類、菓子類、嗜好飲料類、調味料・香辛料類、調理加工食品)

市場に流通する加工油脂や、油脂を原材料とする加工食品を調査した結果、平成18・19年度にも調査した食品のうち22品目で、平成18・19年度よりトランス脂肪酸濃度が低い傾向にあることが確認できました。

平成18・19年度調査結果(穀類加工品、豆類加工品、肉類、乳類、油脂類、菓子類、調味料・香辛料類)

農林水産省が平成19年度に調査した市販加工食品中の脂質及びトランス脂肪酸濃度を、食品安全委員会による平成18年度の食品中のトランス脂肪酸含有実態調査の結果とともに掲載しています。

お問合せ先

消費・安全局食品安全政策課

化学物質管理班
代表:03-3502-8111(内線4453)
ダイヤルイン:03-3502-8731