名古屋では、すき焼きのことを「ひきずり」と言います。すき焼きなべの上で肉をひきずるようにして食べたことから、「ひきずり」と呼ばれるようになりました。大みそかにはひきずりを食べて、年の終わりまで引きずってきたいらないものを、その年のうちに片づけてから新年をむかえるという習慣がありました。
すき焼きには牛肉を使いますが、愛知県では名古屋コーチンなどニワトリの飼育がさかんなので、ひきずりにもとり肉が使われます。ひきずりに入れる「越津(こしづ)ネギ」は、江戸時代(えどじだい)に今の津島市越津町(つしましこしづちょう)で栽培(さいばい)されていたネギです。葉の青い部分もやわらかいのでおいしく食べることができますが、今では少ししか作られていません。