日本の食料自給力
食料自給力とは、「我が国農林水産業が有する食料の潜在生産能力」を表すものです。
食料安全保障に関する国民的な議論を深めていくために、平成27年3月に閣議決定された「食料・農業・農村基本計画」において、初めて食料自給力の指標化を行いました。
新たな食料・農業・農村基本計画(令和2年3月閣議決定)では、従来の食料自給力指標で考慮していなかった農業労働力や省力化の農業技術も考慮するよう指標を改良し、作付けパターンについても、4パターンから2パターンに簡素化を行いました。
また、将来(令和12年度)の食料自給力指標の見通しも新たにお示ししています。
1.食料自給力指標とは
食料自給力指標とは、我が国農林水産業が有する潜在生産能力をフルに活用することにより得られる食料の供給可能熱量を試算した指標です。
生産のパターンは、以下の2パターンとし、各パターンの生産に必要な労働時間に対する現有労働力の延べ労働時間の充足率(労働充足率)を反映した供給可能熱量も示しています。
ア)栄養バランスを考慮しつつ、米・小麦を中心に熱量効率を最大化して作付け
イ)栄養バランスを考慮しつつ、いも類を中心に熱量効率を最大化して作付け
2.令和3年度における食料自給力指標
令和3年度の食料自給力指標は、米・小麦中心の作付けについては、農地面積が減少した一方、小麦の平均単収が増加したこと等により、前年度と同じ1,755kcal/人・日となりました。
いも類中心の作付けについては、労働力(延べ労働時間)の減少、かんしょの平均単収の減少、農地面積の減少等により、前年度を72kcal/人・日下回る、2,418kcal/人・日となりました。
この結果、前年度同様に、いも類中心の作付けでは、推定エネルギー必要量(2,169kcal/人・日)を上回るものの、米・小麦中心の作付けでは下回ります。
令和3年度の食料自給力指標
3.令和12年度における食料自給力指標の見通し
食料・農業・農村基本計画(令和2年3月閣議決定)においては、将来(令和12年度)に向けた農地や農業労働力の確保、単収の向上が、それぞれ1人・1日当たり供給可能熱量の増加にどのように寄与するかを示しています。
令和12年度の食料自給力指標の見通し
農地の確保(a)や単収の向上(b)が進めば、農地を最大限活用した場合の供給可能熱量は、「農地がすう勢の場合」から押し上げられます。
また、青年層の新規就農者の定着率の向上等により、労働力の確保(c)が進めば、労働充足率を反映した供給可能熱量は「労働力がすう勢の場合」から押し上げられます。さらに、技術革新に伴って労働生産性が向上し、労働充足率が一層向上すれば、供給可能熱量は更に押し上げられます。(d)
4.食料自給力指標の推移
食料自給力指標は、近年、米・小麦中心の作付けでは小麦等の単収増加により横ばい傾向となっている一方、より労働力を要するいも類中心の作付けでは、労働力(延べ労働時間)の減少により、減少傾向となっています。
食料自給力の維持向上のため、農地の確保、単収向上に加え、労働力の確保や省力化等の技術改善が必要です。
食料自給力指標の推移
参考
お問合せ先
大臣官房政策課食料安全保障室
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